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のぞえりSSー

追記からどうぞ。


「はぁ…」

「運命の輪」の逆位置。

夜。エリちへの想いを占っとったら出てほしくないカードが出てしまった。

「…『すれ違い』やね」

広げたタロットを元に戻して鞄に突っ込む。

「…あながち間違いでもないかもしれんなぁ」

ウチの中にあるエリちへの想いは一般的には恋なんやろうと想う。

…でも、きっとエリちはウチのこと親友として見てる。

「まぁ確かに…同性っていうのがおかしいんやけど…」

それでも。ウチの中にある想いは間違いなく恋で。

「占い、外れてほしいなぁ…」

自分の占いが外れてほしいと思ったことなんてほとんどない。

…あの時、少し頭をよぎった程度や。


――エリちがまだ、穂乃果ちゃんたちに冷たかった頃。

ウチらがなんとなくμ'sに将来的に入るような気がして、占ったんや。

その結果は今の通り。ウチらが穂乃果ちゃんたちと一緒に仲良くしているって出たんや。

勿論それは一番素晴らしいことやったし、廃校も免れてウチらも今最高に楽しい。

…けど、今も時々思ってしまうんや。

『このまま二人でずっといた方がよかった』…なんてことを。

エリちは今やウチらのなくてはならないリーダーや。…皆の。


「…少し嫌な子やね、ウチ」

思い出して。なんとなくモヤモヤした気持ちになる。

ウチのエリちが、皆のエリちになった。

嬉しいはずなのに。エリちにとってもいいことに違いないのに。

「…もう、寝た方がええね」

段々自分が嫌になってもうて、がむしゃらに布団を被った。

「そろそろ、覚悟を…」

明日こそ、伝えたい。そんなことを思いながら、ウチの瞼はどんどん重くなったんや。



朝。鳥の囀りがいつもより遠く聞こえた。

「ん…?」

起きる。いつもより気持ちが重い様な気がした。

「ウチらしくもない…」

そう、ウチは今日こそエリちに気持ちを伝えようと考えていて。

その決意だけでもうすでに緊張している。

時計を見ると、いつもより遅く起きてしまったことがわかった。

「早く出んとなぁ」

昨日の占いのことを思い出さないようにしながら、鞄を持つ。

放課後の練習の後に、伝えよう。

そう思って、ウチは家を出た。



「…希?」

朝練も終わって、一時間目の授業。

ウチは今、必死にどんな言葉で想いを伝えようかに全神経を使っていた。

「希!」

「!? エリち、ど、どうしたん!?」

いきなりエリちに名前を呼ばれて、思わずびっくりしてしまう。

「朝練で疲れてるからって…授業はちゃんと聞かなきゃだめよ?」

少し面食らったような顔をした後に、いたずらっぽく笑ってそういうエリち。

…やっぱり可愛いなぁ、エリちは。

「…(余計ひどくなった気がするわ)」

何となくその顔が呆れに変わってることに気が付いた。

ウチは慌ててノートを取り始めた。


「…え? 希ちゃんの調子が悪そう?」

昼休み。私は穂乃果を生徒会室に呼び出した。

「そうなのよ…授業中も上の空だし」

何となくだけど、こういうことに関して一番最初に頼ろうと思ったのが穂乃果だった。

「むむ…ていうか、絵里ちゃん、希ちゃんの方ばっか見てたの?」

「…あ」

ほわほわしてる穂乃果に予想外に鋭いとこを突かれて、思わず間抜けな声が出た。

すると途端に穂乃果がにやにやした顔になる。

「絵里ちゃんも上の空なんじゃん~」

「…今度の試験は勉強教えてあげないわ」

「すみませんでした!」

痛いところを疲れて、正論を言われたのでつい大人げないことを言ってしまった。

「まぁ、図星かもね…」

「でもさ、ってことは希ちゃんも絵里ちゃんのことが好きなんじゃないの?」

…ん? 今聞き捨てならない助詞と内容が聞こえた気がするわ?

「…も?」

「だって、絵里ちゃん好きでしょ?」

…ノーハラショー。まさか一番鈍感だと思ってた穂乃果にすら感づかれているなんて。

「…うぅ」

思わず反論できずに俯いてしまう。なんとなく顔が熱くなっているような気がする。

「二人ともどう見たって仲いいじゃん!」

「う…でも、きっと希の感情は私とは違うわよ」

「違くないよ」

穂乃果が。穂乃果らしからぬトーンで、否定する。

「もう!…絵里ちゃんは、鈍感だよ!」

「穂乃果が言う!?」

…でも、確かに。なんとなく真実から目を背けてしまっていたような気がした。

「…ありがと、穂乃果…決意出来たわ」

鞄からランチパックの新味を出して、穂乃果に渡す。

「お礼よ」

「わぁ…これすぐに売り切れちゃうんだよ! ありがとう絵里ちゃん!」

まるで、犬のように素直に喜ぶ穂乃果を見て思わず笑ってしまう。

…あぁ、そうか…こんな穂乃果だから、皆のリーダーでいれるのね…。

「ところで穂乃果、海未やことりのことどう思ってる?」

さりげなく、聞いてみた。

「大親友だよ!」

…訂正。やっぱり穂乃果は鈍感ね。



――そして、放課後の練習もいつものように終わって。

「はい、じゃあここまで!」

ついに、この時が来てもうた。

「かよちん真姫ちゃん、ラーメン食べに行くにゃあ!」

「ヴェエ!? 昨日もラーメンだったじゃない!?」

「あはは…」

一年の皆がいつも通りわいわいと帰ってって。

「ことりちゃん、海未ちゃん! 帰ろー!」

「はい!」

「穂乃果ちゃん! 手繋ごー♪」

「こ、ことり! ずるいですよ!」

見事な三角関係を描いている(しかも当の本人は気づいていない)二年の皆も続いて帰ってって。

「早くいかないと特売が…希、絵里! 先に帰るわね!」

「また明日なー」

にこっちが目の色を変えて屋上から去っていって。


「…希、ちょっといい?」


屋上には、私と希だけが残った。

「どうしたん?」

正直、ドキドキが止まらない。…だけど、穂乃果にあそこまで言われたんだもの。

言わなきゃ。

「あのね、希」

練習後。汗ばんだ首を撫でるように涼しい風が吹く。


「――好きよ、希」


風の音だけが大きく聞こえているような気がした。

「…え?」

ウチは事態が呑み込めなくて。

「…ほんま?」

素っ頓狂な声をあげてしまう。

「…!」

エリちが顔を真っ赤にして首を縦に振る。

…エリちが、ウチのことを…好き?

ビックリして。その場にへたり込んでしまった。

「…ウチでええの?」

ぼそりと呟く。エリちが好きなのは表面上のウチだけかもと思うと、途端に悲しくなって。

「ウチ、嫌な子やで? エリちがμ'sに入ったときだって、どこかでウチだけのエリちやなくなったって思って…」

涙があふれてしまう。そして、その涙とシンクロするように想いまで溢れていく。

「嬉しいことなのに、どこかで独占したいなんて思ってたんやで…なのに…」

「…希」

「ウチは…こんなに嫌な子で…」

「希」

「タロットで占っても、すれ違いって出るんや…当たり前やんなぁ…!」

「希!!」

エリちに名前を叫ばれる。

肩を震わせてビクッとしてしまったウチを、エリちは…


優しく、抱きしめた。


「え、エリち…」

またびっくりさせられて、恥ずかしさも手伝って慌ててしまう。

「馬鹿ね…変なところで、ほんとに察しが悪いんだから!」

エリちの声も、抱きしめている体も、震えていた。

「私も…同じようなことを考えてたわ、希は私だけのものじゃなくなっちゃったんだって」

「察しがよくて、頼りになって…穂乃果に負けない位皆の中心に居たじゃない」

「それなのに…なんだか遠くなったような気がして…」

「エリち…」

エリちもさっきのウチのように、思いを吐露してくれている。

エリちが、泣いている。その涙をどうしても止めたい思いに駆られた。

「…私のこと、嫌いになった?」

…エリちは答えが決まりきっている質問をウチに投げかけた。


「そんなわけないやろ! ウチはエリちが大好きなんやから!」


「…同じことよ。希?」

はっと気づく。…やっぱりエリちにはかなわんわ。

「ごめんな、泣かせてもうて…」

「それにしても、馬鹿よ…タロットよりも、私を信じてほしかった…」

「…エリち、そのセリフハラショーやね」

「! も、もう…! こんな時までスピリチュアルね」

思わず変な反論をしてしまう。

そして、お互い涙目なことが、お互い変なすれ違いをしていたことが、無性におかしくなって。

「「ぷっ…」」

思わず一緒に吹き出してしまった。

「…ある意味、すれ違ってたわけやからウチの占いは当たってたんやね」

「はいはい、じゃあこれからの私たちの未来でも占ってよ」

「そんなの、決まってるやろ?」

希がタロットを取り出して、一枚引く。

そして、そのまま急に近づいて…


唇に、キスをした。


真っ赤になる私をいつもの笑顔で見ながら。


希が見せてくれたタロットは。

『恋人』の、正位置だった。
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KZO

Author:KZO
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Twitter:☆Cube_fumiya
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将来的にはサークルで漫画を取り扱いたいですが、今はとりあえずSSとイラストの修練から。
何かありましたらツイッターの方でよろしくお願いします。

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